環境芸術学会第7回大会 新宿御苑フィールドアート共同作品 選考報告
   
  環境芸術学会第7回大会のプログラムとして開催される「新宿御苑フィールドアート共同作品」の選考結果を、以下にご報告いたします。
  平成18年7月末        
選定委員代表:
 
エントリー結果
  募集要項に従い、以下11チームからのエントリーがありました。

エントリー作品
1. 時の道標
2. HERE-UPON ここにおいて 新宿御苑
3. 東京の中心で地球をえがこう! 〜The message to the earth〜
4. “副都心衛星”
5. ヴァルデスランド 〜森の境界〜
6. 100年・100水・100人 水と環境のアート・インスタレーション
7. 新宿御苑で地球を感じる(仮題)
8. 新宿御苑の空をみる 〜秋の七草とともに〜
9. さざなみフラワーショップ
10. 大地の舟
11. 水と生命とアート
 
1次選考結果
  エントリーで提出された資料をもとに、7名の選定委員により以下5つの評価項目に従い5段階評価を実施し、上位4チーム(3位同点2チーム)を2次選考対象チームとして選出しました。
 
  ○評価項目
(1)提案の的確性=コンセプトや考え方、基本方針にみる的確性など
(2)作品の独創性=表現される芸術作品の独創性や話題性など
(3)計画の実現性=計画される内容の実現性や屋外環境における安定性など
(4)支援の妥当性=学会の支援対象として、また新宿御苑の取り組みとして適正など
(5)全般的な魅力=フィールドアートとしての総合的、全般的な魅力
 
  ○1次選考結果 詳細(Excel 18kb)
 
2次選考結果
  1次選考において選出された4チームを対象に、7月25日新宿御苑管理事務所応接室において各チーム30分間の面談審査をおこない、その後、出席した選定委員4名(国安俊夫/伊藤隆道/池田政治/)の話し合いにより、フィールドアートを実現する1チームを選定しました。
 
○選定作品および寸評
ヴァルデスランド 〜森の境界〜  詳細はこちら(Pdf 679kb)
チーム名:ヴァルデスランド・プロジェクトチーム
メンバー:田中智博(代表)/松浦圭祐/さとう葉

寸評:
新宿御苑の絶滅危惧種をテーマとしたオブジェで、かつ携帯電話やwebサイトで関連する情報を閲覧できる参加性の高い作品であり、新宿御苑の特長を採り込むインタラクティブな環境芸術として評価されました。
また高さ6mのフラッグを8枚組み合せ1つのオブジェをつくり、フィールド全体に5つのオブジェを配すなど、来場者の目を惹き付ける内容でわかりやすい作品であることも評価された理由の一つです。
逆に懸念される安全性や強風時の対策についても、屋外環境でよく使われているドイツ製の製品や材料などで計画され、台風の際にも簡易的に取り外すことが可能な構造であり、ある程度の対応が練られている点も評価されました。
○その他作品の寸評
HERE-UPON ここにおいて 新宿御苑
割箸のみを素材に芝生につき立て、この地の緯度5度分にあたる長さ125mのラインを描く作品であり、地球の単位を知るきっかけづくり、また芝生の緑地印象を際立たせる美しい環境芸術であると評価されました。
一方、新宿御苑でおこなわれるプロジェクトとしての意味が伝わりにくいと感じさせたこと、また125mもの距離を遮ってしまう点が問題点として挙げられました。さらに割箸の先端部分の危険性なども危惧されました。
新宿御苑で地球を感じる(仮)
1次選考において1位であった作品であり、広大なフィールドを活かし多数の水平方向の羽が風で揺らぐ景色の創出は高く評価されました。
一方、作品のコンセプトである新宿御苑と対をなす地球の裏側の海を表現していることについては、こじつけが強いとの意見もあり、また500基ものパーツを設置することで、維持管理面での不安が指摘されました。
大地の舟
「御苑はそのむかし海であった」とのコンセプトから、太古の海を想起させるシンプルな舟をインスタレーションさせる作品が評価されました。
一方、太古の海を舟のオブジェで表現することについて、一般来場者がわかりづらいのではないかとの意見もあり、限定された搬入時間(1日)での設置の課題、また子どもたちの作品接触にともなう危険性なども挙げられました。
 
審査総括
 
由緒ある新宿御苑の100周年記念イベントの一環として企画された「フィールドアート」展には、短期間の公募だったにもかかわらず、11作品の応募があった。そのうち、提出書類による第1次選考で、別表に掲げた5項目の得点合計によって、4作品を選出した。
第2次選考では、それぞれの代表者から作品について具体的な報告を受けた後、慎重な協議の結果、「ヴァルデスランド 〜森の境界〜」を選定委員の総意によって選出した。選定理由は寸評の通りである。
秋空に高くひらめくフラッグは、環境の次代に向けてのシンボルとして、人々の目をそして心をも愉しませてくれるであろうと期待する。(